ムーアの法則の限界
テクノロジーの世界では、原子物理学的な制約から、ムーアの法則の限界が近づいてきています。データの伸びに対して、計算能力の増大が追いついてきていません。半導体業界では、回路線幅7ナノメートルのデサイン・ルールの半導体の開発がすすんでいますが、シリコン結晶格子のシリコン原子間距離は0.5ナノメートルであり、7ナノメートルの回路線幅はわずかシリコン原子14個分しかありません。すでにシングル・スレッドでのパフォーマンスの伸び悩みを補うために、マルチコア・メニーコア化やGP GPU(汎用のグラフィック・プロセッサー・ユニット), FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ)などによる特定のアプリケーション向けのアクセラレーターとのメモリー共有を可能とするハイブリッド・プロセッサーなど、様々な取り組みがなされていますが、今後はまったく新たなパラダイム・シフトが必要となってくるでしょう。
カーボン・ナノチューブをはじめとするグラフェン素材、光インターコネクトを実装したシリコン・フォトニクスなどのポスト・シリコンのテクノロジーやニューロモーフィック・チップ、量子コンピューターなどの全く新しいテクノロジーが必要とされています。
ニューロモーフィックチップは画像認識などに優れ、また、量子コンピューターは実時間で解けないような難しい最適化問題を解くのに適しており、従来のノイマン型プロセッサー(古典コンピュータ)とのハイブリッド構成になるでしょう。これら非ノイマン型のアーキテクチャーをもつアクセラレーターは特定のワークロードを加速化させるためのものです。そこで、業界に特有のワークロードを加速化させるためには業界知識が今後増々重要となってくるでしょう。
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