人工知能とスーパーコンピュータ
世界各国が産業競争力の源泉としてコンピュータの性能向上を競っており、世界のスーパーコンピュータの性能ランキングはHPLベンチマークの結果としてTOP500というかたちで1993年から毎年2回発表されています。最新のTOP500の発表によれば世界最高速のコンピュータは米国エネルギー省オークリッジ国立研究所のSUMMIT 200ペタ・フロップス(1秒間に20京回の浮動小数点演算が可能)となっています。
日本では理化学研究所の京コンピュータが有名でしたが、現在の国内最速は産総研のABCI(AI Bridging Cloud Infrastructure)で、1秒間に3京回以上の計算をこなし、TOP500で7位にランクインしています。最近はビックデータ解析や人工知能での利用を目的としたシステム設計が主流となっており、いずれもNVIDIAのGPUをSUMMITでは2万7000基以上、ABCIでも4,352基搭載しています。
従来のテクノロジーで非常に高い計算能力を実現しようとしたときに、一番大きな問題となるのが熱の発生と電力です。そこで消費電力当たりの性能を競う別のランキングとしてGreen500が同時に発表されており、上位5位中1位、4位、5位を日本製が占めるなど日本が健闘しています。ABCIでもドイツのライプニッツ・スーパーコンピューティング・センター(LRZ)にあるSuperMUCと同様、35°Cの温水による冷却でエネルギー効率を上げているのが特徴です。
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