人工知能により、どのような仕事がなくなるか?

認知型のコンピューティングは、既にさまざまな領域で実際に活用され始めています。金融や医療、法務といった特定の領域で大量のデータにより学習させると、その領域の専門家に代わって、非常に有能な力を発揮し、人間の判断を助ける手段となることが期待されています。

例えば、医療の世界では、人間が読むスピード以上に大量に発表されたり、更新されたりする研究論文や過去の症例を学習させることにより、がんの治療方針の決定に当たって、患者の特定の遺伝子を解析し、最も治療効果の高い療法を推奨することが出来るようになりました。これにより、不要な検査を8割減らし、患者の負担や治療費の削減を実現することができるのです。また、大量の病巣部分が映った医療画像を学習させ、患者の画像から病巣を発見する手助けができるようになりました。

金融では、投資家へのサポートとして、ロボット・アドバイザーなどが活用されていくでしょう。世の中には性格によってリスクを好むタイプの人と安定指向の人がいますが、その時々の株式相場、政策金利、為替相場、各国の経済統計などの金融情勢や、国際情勢、天候、ニュースなどにより、数多くの金融商品のなかから最もその人に適した商品をアドバイスすることができます。専門のフィナンシャル・アドバイザーより収益率が高くなったという結果も出ています。現在、金融業界で注目されているフィンテックのひとつの利用事例です。

法務では、裁判の証拠資料の発見のために、ビッグデータの活用が不可欠となってきました。膨大なデータのなかから必要な情報を見つけ出す技術は、今後ますます重要となってくるでしょう。企業のコールセンターでは、経験の浅い要員に対して、質の高い回答例を示すとともに、過去の顧客の購買履歴から効果的なアップセリングの提案が可能となりました。

通訳の仕事でも、多くのデータを学習することによって自動翻訳の精度が格段に上がってきています。音声認識、自動翻訳、音声合成の機能と便利なデバイスを組み合わせれば、本当に近い将来、通訳はいらなくなる可能性があります。日本人が国際化する上で最大の障害だった言語バリアーは今後なくなっていく可能性が高くなります。

このように、人間の仕事は補助的な仕事からどんどん人工知能に置き換えられていくでしょう。従来の定型的な仕事だけではなく、ある程度判断が必要な業務も人工知能に置き換えられていきます。将来の士業が危機に晒される所以です。

このとき、人間には何が求められるかのでしょうか?これらの人工知能をうまく使いこなすことが出来れば、本来その人が持っている以上に能力に拡張し、生産性を大きく向上させることができるようになります。たとえば、弁護士は有能な弁護士助手として人工知能を使いこなし、効率よく、今まで以上に案件にかかわることも可能になるでしょう。また、新しい技術を使いこなすことが困難な人に対しても、よい橋渡し役としての役割が求められるようになるでしょう?

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