実用化に向かう量子コンピューター

自然界に働く量子力学を利用して、いままで通常のコンピュータでは膨大な計算量が必要となるために実時間で解くことのできなかった問題を、実時間で解くことができるとされる量子コンピューターの実用化が期待されています。量子コンピューターの実現に向けては、量子アニーリング方式や量子ゲート方式など、現在、複数の方式が研究されていますが、最も汎用性の高い量子ゲート方式の16量子ビットの試作機がすでにクラウド上で一般に公開されています。

量子コンピューターでは、巡回セールスマン問題等の最適化問題、分子や化合物のシミュレーションによる創薬への応用などが期待されていますが、実はどういう問題が解けて、どういう問題が解けないか、まだ十分にはっきりとしていないのです。これらの問題を解くための量子アルゴリズムが発見されないと、量子コンピューターを活用して問題が解けないのです。今まで素因数分解やデータベース探索の量子アルゴリズムに加え、機械学習の量子アルゴリズムも発見され、今後は人工知能エリアでの活用も期待されます。2020年までには、現在最高速のスーパーコンピューターの能力を超える50量子ビットでエラー耐性に優れた量子コンピューターが試作されるという予測もあります。量子コンピューターでは、量子ビットの重ね合わせ状態と複数量子ビット間の相関関係である量子のもつれがキーになります。まだまだ、研究段階であり、興味は尽きませんが、量子コンピューターでも実際に解けない問題はまだ多いのが現実です。

0コメント

  • 1000 / 1000